月琴路
一、雪蓮
久し振りに“あちら”の水が恋しかった。それだけのことだった、あちらへ戻る気で行った訳ではない。
ただ、水が恋しかっただけだ。穢れを寄せ付けることさえ拒む、傲慢ですらある清浄さが。
『ん? 誰かがこっちの人間を呼び出してやがる、女か!?』
闇道を辿りながら俺は臭いを感じた。水の匂いと女の臭い、そしてほんの僅か男の臭いも混じっている。足を進めるごとにその臭いは強くなっていった。“あちら”との境に辿り着いた時には、はっきりと女の姿も見えた。
『女、一人か……』
確かに男の臭いも感じたが、そこには女が一人座っているだけだった。辺りにあちらの男の姿も気配もない。
『男の気配はないが、同族が一人いるな』
俺は気配を殺して辺りを窺った。
右、数歩の所の木の傍に同族と思しき男が、左の方をじっと窺っているのが見える。
その視線の先、月もなく誰も立ち入らぬような山の中、少し開けたその場所の、正面奥二十歩ほどの所には小さな滝。その滝と自分との真ん中辺りに女が一人座っていた。簡素ではあるが、清潔感のある着物。簪の一つも挿してはいないが、背中に少し垂らされた髪はぬばたまの美しさだ。後ろからではよく分からないが、年の頃は娘といった所か。両脇に置かれた細い蝋燭の明かりに、ときおり着物から伸びた白い腕が見える、確かに穢れを知らぬ若い娘のそれだった。
『顔が拝めないのが、残念だな』
俺はそのまま見物することにした。女は氣術を行っている。異なる世界の者を呼び出す氣術を。滅多なことではお目にかかれない光景ではあったが、それよりも、目の前にいる若い娘の方が遙かに自分を惹きつけた。事と次第によっては、思わぬ果報が転がり込んでくるかも知れない。そんな美味しいことがそうそう起きるとは思えなかったが、ないとも言い切れない。健康な男なら誰もが考えることだ。
女は何事かを静かに呟いている。聞き覚えのある言霊。“あちら”の世界ではもう殆ど知る者はいないであろうと思っていた古の儀式。
『ということは、俺は本当に呼ばれてここに来たのか』
女の周りには、細く青白い光の大きな多角形の法陣が浮かび上がっていた。儀式はさやさやと進んでいる。
俺は躊躇った。女の請いに応えるかどうか。応えるは、“あちら”の世界へ再び舞い戻るということだ。それはあまり気の進むことではない。
数歩離れた場所で、草を踏む音がした。俺はハッと我に返る。右に立っていた男が、術を施している女の方へ歩み寄っている。そう言えば、ヤツの方がここへ先に来ていた。“呼ばれた”のだとすれば、それはヤツの方か。面白くないが、呼ばれたのが自分ではないのなら、大人しく引くのが礼儀だろう。自分にまだそんなものがあったのかと、笑い飛ばしたくなるが。
これは、自分の知る限り最も厳格で難解な手順を踏んだ、契りの儀式だ。これに応えるは命を預けることになる、だからこそおいそれと手出しは出来ない。
『あの女の望みの行く末を見守るくらいはしてやるか』
俺はそのまま、じっと儀式の進行具合を見守った。
ヤツがゆっくりと女に近寄っていく。少し背中を丸め本当にゆっくりと、足でも悪いのかと思うようなのろさで。その様を見ているとイライラする。さっさと契りを交わせばいいものを。何故イライラするのかは分かっていた。女の後ろ姿と白い腕しか見ていないが、好みなのだ。たったそれだけでも、好みだと思ったのだ。
『ちッ ヤツさえいなけりゃ俺がさっさと頂いたのに』
苛立ちと、儀式に呼応して左手首の内側の印がチリチリと痛んだ。それを押さえる為、俺は帯刀している剣の柄をぐっと握った。
ヤツがとうとう法陣の中に入った。女がその気配に気が付き振り向く。
俺の思っていた通り好みの顔をしていた。若い娘だ。更に苛立ちは募る。と、その時女が小さく悲鳴をあげた。歩いていた時とは信じられないほどの俊敏さで、ヤツが女の首に手を掛けていた。
「おいおい、術をトチってたのかよっ!」
だとすると女の命はかなり危険だ。この氣術自体が命がけの危険なものなのだ、違う種と契りを結ぼうというのだから。小さな失敗は死に直結すると言っても過言ではない。放っておけば、女は恐らく――――。
「さて、手を出すかどうするか」
俺はまだ逡巡していた。助けるのも容易いことではない、“呼ばれた”ヤツは完全に術下を離れ暴走を始めている。呼ばれていない自分がしゃしゃり出て、ヘタを打てばこっちの命が危うい。
そうしている間にも、ヤツは女の首に更に力を込めている。女はというと、必死に腕を動かし、引き剥がそうとはしているが、男と女の力の差はどうしようもない。
勿体ない。
「クソッ 助かったらそれ相応の礼は貰う!」
俺は剣を抜き、跳んだ。ヤツは女に集中していてこちらには気付かないことが幸いした。落下の速度を利用し、そのままヤツの身体を斜めに斬り下ろす。肉ともっと堅いモノが斬れた感触を受けた。着地と同時に、今度は軽く後方へ跳ぶ。再び地に立った時には、ヤツの背中から大量の血が飛ぶように流れるのが見え、ヤツが振り向いた。大きな傷を受けているにも拘わらず、ヤツは走るような速さでこっちへ向かってくる。
「はやい!」
剣を構えようとしたが身体が動かなかった。
「法陣の中かよっ!」
暴走し勝手に大きくなった自分の為ではない法陣は、異物の俺を捕らえ微動すら許さなかった。
「ぐっ」
目の前が暗くなる。知らぬ間にヤツが、目の前に立っていた。動けない俺の首に手を掛け、もう片方の手は剣を抜き取り振り上げる。
『ここまでかっ』
覚悟した俺に訪れたのは冷たい刃ではなかった。
「うわっ」
倒れ込んできたヤツを寸での所でかわす。ヤツは目を開けたまま、どうっと地面に突っ伏した。背中にとどめとなった短剣が突き刺さっている。どうやら助かったらしい。ほっとした気持ちで顔を動かしたら、目の前に今度は女が立っていた。
「死んだの?」
女は苦悶の表情でヤツを見下ろしていた。
「ああ 死んだ」
「……そう」
言うと女の足が崩れた。それを支えるように抱き留めると、ゆっくりとその場に寝かせるようにして、腰を降ろした。
女は全身の力が抜けたように、ぐったりとしていた。無理もない。暴走した術は行った者にもそのまま跳ね返ってくる。それに耐えたということは、かなりの実力者なのだろう。だが、暴走させるようでは、どう考えても未熟者だが。
女の躰は、思っていた通り男の自分よりずいぶんと頼りない。顔をよく見れば、まだどこか幼さを残している。年の頃は十七、八といったところだろうか。よくあんな大きな氣術をやる気になったものだと思う。女は肩で大きく息をし、額には汗が滲んでいた。年頃の娘らしく、よい匂いがする。この辺りの貧しい村の民は存在を知りもしないだろう香の香り。それなりの家の娘か。
そして、娘からは不快な男の臭いもした。
しばらくじっとしていると腕の中の娘の呼吸は穏やかになり、ゆっくりと瞳が開かれた。知らぬ男に抱きかかえられているのだと分かると、すぐさま飛び起きて俺から離れた。残念ながら。
「あなたは? “弐世”の人?」
助けられた礼よりも、そっちかとまた残念に思った。
「そうだ。呼ばれたのは俺じゃないが、まだ契約する気があるなら、条件によってはノッてやるぜ」
儀式はぐちゃぐちゃだ。だからと言って契りを結べない訳ではない。重要なのは意志だ。それと機。呼ばれたのが自分ではないにも拘わらず、生き残ったのは俺だ。これは間違いなく、機だ。
娘は当惑しているように見えたが、答えは早かった。
「わかった。契約する。条件を教えて」
「おいおい、いいのか。先に返事を言って。俺の条件は、ことによっちゃキツいぜ」
「構わない」
じっと相手を見据えた俺の視線から逃れることなく、女は即答した。よほど切羽詰まっているのか。よほど覚悟を決めているのか。俺はどちらでも構わなかった。格の高い妓楼でも、これほどの女はなかなか出会えない。そう思ったからだ。
「契約成立だな」
「私の用件は聞かなくていいのか?」
「ああ、別にこっちの世界なら、そうびびるものは俺にはない。だが、一応聞いておく。これから長い付き合いになるんだしな」
少し皮肉を込めた笑みを向けたが、娘は動じなかった。
「長いかどうかは分からないけど、私の用件は、昂霞(こうか)まで一緒に旅をしてくれること。それだけだ」
「帝のおわします都までか。いいだろう、楽しい旅にしようぜ」
「じゃ、早速契りを」
娘は倒れている奴に刺さっている短剣を抜き取ろうとしたが、意外と深く刺さり女の力では無理なようだった。代わりに抜いてやり、ヤツの着物で血を拭き取ってから、手渡す。娘はそれで指先に傷を付けた。ぷつと赤い血が浮く。それを俺に向かって差し出す。俺はそれを躊躇うことなく引き寄せ口に含んだ。
「くっ」
引き戻そうとする娘の腕を掴んで止めた。指先の傷を吸い血を飲む。それが終わると舌で指を舐めた。ぐるりと絡め取るように。暫くその感触を楽しんでから、娘の指を解放した。
舐められることなど思ってもいなかっただろう、娘は頬を染め、舐められた指を隠すように胸の所で握りしめていた。
「そんなんで俺の条件大丈夫か?」
「約束は違えない。条件を言って」
「主の命はきっちり守る。他の仕事も拒まない。金はいらない、求める代償は一つ」
「なに?」
「俺の望む時に夜伽をしろ」
娘の顔にはっきりと嫌悪の色が浮かぶ。予想した反応だ。妓女でもないのに、躰を代償にしろと言うのだから。生娘なら躊躇ったが、俺はこの条件を出した。男の臭いのしたこの娘は、きっと飲むだろうという打算があった。
「分かった、好きにするがいい。もう出発する」
娘はそれだけ言うと、俺にくるりと背を向けた。
「まだ契りは半分しか終わってないぞ」
忘れていたというように振り向いた娘の口に、娘と同じように傷を付けた俺の指を差し込んだ。娘の口腔内は温かく舌は柔らかだった。娘がこくんと喉を鳴らした後、その舌をひと撫でしてやってから指を引き抜いた。
刺すような視線を一瞬感じた。それも仕方ないだろう。
だが、これで契約は成立した。再び儀式に乗っ取った解を行わない限り、違える時は互いの死だ。
「……出発を」
「主、名前を聞かせてくれ。道中ずっと主と呼ぶのは味気ない」
「主従というつもりはない、対等でいい。だから好きに呼べばいい」
「名はないのか?」
「…………」
黙。言いたくないということか。
「そうか、じゃ“シュエレン”と呼ぶが、いいか?」
何故その名を選んだのか深くは考えなかった。ただ好きなものの名を選んだだけだった。
「雪の蓮?」
「そうだ、俺の好きな花だ」
娘の顔が仄かに綻んだような気がした。
「俺の名はリャンだ、よろしくな」
「リャン」
「ああ、そうだ」
久しく呼ばれたことのない女の声で呼ばれるのは、酷くくすぐったいものを感じた。
「山を降りた方がいいけれど、とりあえず休む所を探したい。リャンはどう思う」
「急ぎでなければ、それがいいだろう」
手を引いて歩き始めると、娘は怪訝な顔をした。
「明かりは必要ない、“夜叉”は夜目が利く」
「夜叉?」
「そっちのヤツら、いや主たち現世(うつしよ)の者は、俺ら弐世(によ)の者をそう呼ぶだろうが」
「シュエレンでいい。そうか、リャンは夜叉なのか」
「呼んでおいて、知らなかったのか!?」
「そうじゃない、あまりに私たちと見た目が変わらないから、夜叉とは思えなかっただけだ」
「……変わらない、か。そういうヤツらばかりだったら良かったんだがな」
「なんのことだ?」
「いや、なんでもない。ああ、小屋が見える」
いくらも進まないうちに小屋が見えた。隣には大きな屋根付きの半円の塊がある。どうやら炭焼き窯とそれの小屋らしかった。
隣でホッとした息遣いが聞こえる。
足取りは悪くないが娘は疲れているのだろう。大きな術を使ったばかりだということを、俺は思い出した。
幸い小屋の中には人が横になれる程の木台があった。育ちのよさそうな娘にはそれでも悪条件だろうが、地べたに寝るよりはましな筈だ。
「リャンはどこで寝る?」
「俺はここで」
小屋の中にあったむしろを台の上に敷き、シュエレンをその上に寝かせた。俺はその横にむしろを敷き、小枝の束にもたれかかって眠ることにした。
「もうひとりくらい寝られる」
驚いた。
さっきあれほど嫌悪を顕わしたのに、この矛盾した言葉はなんなのか。もっとも無粋な詮索をするつもりはない。それよりも。
「それは願ったり叶ったりだが、シュエレンの貞操の保障は出来ないぞ」
「約束を違えるつもりはない」
「じゃ、遠慮なく」
俺はシュエレンの隣に横になった。二人でも寝られはするが、そう広くもない。くっついていないと、寝返りを打てば落ちそうだ。密着したことで温かな体温を感じるし、シュエレンからは相変わらず良い匂いがする。自分をそそるような。
「これは本気でヤバいぞ。さっき守ってやった礼をしろとか、口走りそうだ」
「もう言ってるじゃないか」
「そうか、じゃ、いいか?」
「守ってもらったのは契りの前だ」
「そうくるか、なるほどな。話がうまいと思った」
「あきらめるのか?」
「約束は守る、一応な」
「意外と律儀な男だな」
「そうでもないぜ」
そう、らしくなかった。いつもの俺なら、もっと上手く話を運びそのままなだれ込んだ。
『まさか……いや、ない』
シュエレンは対等で良いと言ったが、呼ばれたのは俺で主従関係には違いない。主には礼節を重んじるものだ。俺が言うとやたら嘘くさいが。
とにかく寝よう。俺はそう決めた。
が……。
主様がやたらとくっついてくる。それまでの態度を思うと、その気でくっついてくるとはとても思えないが。健康な男の俺に、これでは蛇の生殺しだ。やっぱり下で寝よう。そう思って身体を動かしたが、上着を握られていて引き止められた。動いたことで揺らいだ空気に乗って、男の臭いが鼻腔に入ってきた。不快な男の臭いが。
無性にイライラする。その臭いが自分のものだと主張しているようで。もう俺の主なのに。
「主すまない」
「え? …んっ…」
盛りのついた餓鬼よろしく、自分でもどうかしていたと後から思った。だが、久し振りの女の唇は柔らかく甘く俺を絡め取り、男を惑わす幻薬を嗅がされたようだった。
服の合わせをはだけると白い柔肌が艶めかしかった。と同時に男の臭いがいっそう強くなった。夜目の利く自分には、まだ新しい紅印まではっきりと見えた。やはり男がいたのかと思うと、後はとても優しい扱いは出来なかった。情けないことに。
口腔内に入り込ませた舌で隅々まで犯し、柔らかい乳房は揉みしだく、頂きの緋色はまだ初々しいが、構わず口で嬲った。
「…あっ……んんっ…」
快楽とも苦痛ともつかぬような、たどたどしい喘ぎ。きつく寄せられた柳眉からは苦痛が感じられた。だが、躰は逃れる仕草は見せない。それが分かると、そのまま愛撫を続けた。気に入らない紅印を消すために同じ箇所にもっと濃い色を着けた。
「あ!」
足を開き付け根に指を忍び込ませると、驚きを含んだ声がした。その先、小さな花芽を過ぎもっと奥に指を進めれば、指が濡れた。
受け入れてくれる気はあるということか。今の俺にはそれで十分だった。
そこからはゆっくりと時間をかけて、ときほぐした。指を一本、花芯に挿入れてみると意外にキツかったのだ。だから時間をかけた。指と唇で、肌身が熱く熱を帯び、そこが自分を乞うようになるまでじっくりと。
「いれるぞ」
シュエレンは一度俺の方に視線を彷徨わせ目を閉じ、頷いた。
「…くっ」
指もキツいと思ったが、それとは比べものにならない自分の肉棒を収めるには、無理ではないかと思われた。まるで初花のように……。
――――まさか。
「はじめてなのか!?」
唇を引き結び、涙さえ窺えた顔はどう見てもそうだとしか思えなかった。
こんな形で生娘を抱くつもりはなかった。男の臭いがしたからにはてっきり――――。
「やめるか?」
心ではやめた方がいいと思うのに、躰の方は萎えもしていない。我ながらバカ正直さに呆れる。
だがシュエレンは首を横に振らなかった。
「いつかはくることだから、このままでいい」
「わかった。優しくするが、ちと我慢してくれな」
シュエレンは小さく頷くと、また目を閉じた。
そこに苦痛に耐えようとする表情は見えるが、嫌悪は感じられない。
「出来るだけ力を抜いてくれ、その方がシュエレンも楽になる」
「…ん」
耳たぶをくすぐるように囁くと、少しシュエレンの躰から力が抜けた。ゆっくりと侵入を試みる。さっきほどキツくはないが、それでも彼女にはツライだろう。進むごとに眉間に皺が浮かび上がることからそれが分かる。
「つらいか?」
とりあえず収まるべき所まで、全て収まったが。
「……思ったほどじゃない」
「動いてもいいか?」
「リャンの好きに……」
俺はシュエレンの額に口づけてから、ゆっくりと動いた。幾度か抜き差ししているうちに、シュエレンの声にほんの少し甘さが含まれてきた。それに安堵する。どうせヤるなら、相手も自分も楽しみながらしたい。それが俺の信条だ。
「くっ」
最後を迎えるとすぐ引き抜いた。対等とは言われたが、主を孕ませるのは主義に反する。
「初めてだとは思わなかった。すまない」
「言わなかったのは私だ。気にすることはない」
「だが、好きな男がいたんじゃないのか? 最初くらいは、そいつと……」
「そんなものはいない!」
強い否定の口調に俺は言葉を失った。あの男の臭いは好きな相手ではなかったのか。初花を散らした罪悪感は、それで幾らか払拭されたような気がした。少なくとも彼女は俺を拒まなかった。拒もうと思えば拒めたのに、それをしなかった。それを嬉しいと思う自分に苦笑した。
「口づけをしてもいいか?」
シュエレンの衣服を整えてやりながら問う。
「なぜわざわざ聞く」
心なしか瞳が笑っていた。
「なんとなく、だ」
「好きにすればいい……ん…」
さっきとは違う口づけをした。その柔らかさを確かめるように、優しく長く。
他人の体温が心地良いと感じたのは、子供の頃以来だろうか。俺はいつの間にかシュエレンを抱きしめ、眠りについていた。