Good Morning?

「アービンのバカッ!」



 となりで寝ぼけた目をこすりながら僕を見たセフィに、朝の挨拶をした。まだちゃんと目が覚めてなくて、ぼ〜っとしているのがわかる。
 それでも、はにかんだように、照れたように「おはよう」と言ってくれた。
 朝の白い日差しの中、となりにいるキミを見て本当に嬉しくなる。そんな幸福にひたっていた僕に、次の瞬間言われたのがさっきのアレ。


「もう、完全にチコクやんか! なんで起こしてくれんかったん! てかなんで、あたしこんなトコにおるんーーー!!」
 それはあんまりだよセフィ。にこにこしてやって来たのはセフィなのに〜。

 けれど、セフィはものすごい勢いで動き始めていて、もう僕のことなんて完全にキミの頭の中から追い出されてるんだろうね。
 はあ…。

 しきりに「チコクー、チコクー」と言って身支度をしている。それでも僕は話をしなきゃと思って、名前を呼んだら、キッと睨まれた。
 そんな睨まれなきゃいけないようなことした憶えは全然ないのに。いや、ちょっとは……あるかな。ははは…。でも、そんなのちゃんと後のことも考えてからだったよ?

「セフィ、ちょっと待ってよ〜」
 少しでも僕の話を聞いて欲しくて、洗面所から出てきたセフィに声をかけた。
「アービン、上着たらどうなん?!」
 タオルの隙間からにらんだセフィの前髪からポタッと雫が落ちた。

 うん、そうなんだけどね。先に僕の話を聞いてほしいんだよ〜。

 でも、セフィは全く取り付く島も与えず、身支度を終えるとさっさと僕の部屋を出ていってしまった。


 あ〜あ。もう、どうしてこうなっちゃうかな〜。
 僕はひとりごちた。

 今日はセフィも休みなんだけど。ただ、それがイレギュラーだったんで、セフィは忘れてるんだろうけど。




 そろそろ、職務室に着いた頃かな?
 そして、キスティス辺りに
「今日は休みでしょ」
 って言われて、セフィはうっかり忘れていたことに軽くへこんで。
「何なら手伝ってくれても構わないぞ。ボランティアだが」
 スコール辺りにはそう言われて、
「こんどね〜」
 と愛想笑いをして職務室を後にして、それから――――多分ここに帰って来る。


 テーブルに置き去りになっている携帯電話を見て、僕はそう予想した。


 気まずそうに帰ってくるであろうセフィの為に、朝食でも用意しておくとしようか。
 トーストとベーコンとスクランブルエッグ、ゴボウとブロッコリーのサラダ、苺もオマケして、甘めのカフェオレがあれば、きっとセフィのご機嫌はすぐに回復する。
 あ、フレンチトーストの方が喜ぶかな。


 その後のことはまた――――。


「取り敢えず服を着るか」
 僕は、まず髪を括ることから行動を開始した。

セルフィ、こんな事が時々ありそう。多分キスティス達にはバレバレで軽くからかわれてるんだけど、セルフィはバレないように必死で取り繕ってるんだよ〜。可愛いな〜、セルフィ。
アービンは、ホント辛抱強いネ。エライ!
(2008.05.18)

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