chapt.3 敵
机の上の電話が、静寂を破るようにけたたましく鳴った。それに慌てる事も無く、スコールはいつもの動作で、インカムを付けて通話をオンにする。
「……状況は分かった。ラグナロクで直ぐ救出に向かう、キスティスは医療チームの手配を頼む、それとサイファーもメンバーに入れてくれ」
相手の話を黙して聞いた後、手短かに通話を終えると、忙しなくコンピュータを操作しながら、スコールは別の所へコールした。
「スコールだ、これから緊急でラグナロクで出る、後の事は頼む。詳細はSE-012のファイルを参照してくれ」
シュウの「了解」の一言を聞くと、直ぐコンピュータの電源を落とし、彼は職務室を風のように後にした。
スコールがバトルユニフォームに着替え、ガンブレードの入ったケースを担ぎ、格納庫へ着いた時には、既に飛空艇ラグナロクはエンジンを点けて待機していた。
「キスティス、揃ったか? セルフィとサイファーは?」
「後、医療チームが来れば、全員揃うわ。セルフィとサイファーはもう中で待機してる」
頭上のラグナロクを指さし、スコールと同じくバトルユニフォームを身に付けたキスティスが答えた。
「医療チームが来たわ」
キスティスがスコールの後ろに視線を移したと同時に、複数の走ってくる足音が聞こえた。
「出発する。詳しい事は中で」
「了解」
医療チームと共に、スコールとキスティスもラグナロクに乗り込んだ。
巨大な真紅の龍は、驚く程静かに舞い上がると、最高速度で目的地へと飛んだ。
※-※-※
「大丈夫か!? アーヴァイン!」
「ああ 大丈夫だよ」
バトルユニフォームの腹の辺りをざっくりと切り裂かれ、したたかに血を流しながら、アーヴァインは直ぐ近くで拳を振るっている同僚に、シニカルな笑みを返した。
「ったく何なんだよこいつら。敵なのか味方なのかはっきりしろってんだ!!」
「ゼル、この状況で味方はないでしょ」
「分かってるよ!」
半ばヤケクソ気味で言い放つと、ゼルは横から殴りかかって来た男を、ひょいと背を屈めて避け、すかさず下から繰り出した一撃で男を沈めた。
「キリがないぞコレ、どっからこんな湧いてくるんだよっ!」
「いくら素人相手でも、こんな多人数じゃ、ちょっとキツイね」
シュンと空を切ったナイフをかわし、直ぐ横にきた手首をグイと掴み、横っ面に一発と鳩尾に一発喰らわせた男が、どっと地面に突っ伏す。アーヴァインはその男の手に残っているナイフを抜き取った。
「ガーデンに連絡は?」
「通信機が壊れる前にしたけど、どうかな」
「どうかなってお前」
アーヴァインの方に顔を向けて、背後から襲いかかって来た男の顔面に、後ろ向きのまま蹴りをお見舞いしながら、ゼルは呆れた声を上げた。
「繋がったらすぐ壊されちゃったからね。ゼルこそどうなのさ」
「とっくに壊された。なんか絶望的だぜコレ」
ゼルの声は酷く落胆していた。
それは無理もない事だった。
今回派遣されたSeeDは十人、だが相手にしているのは軽く五倍くらいだろうか。詳しくは確認出来ないが、今分かるのは大体それ位だろうという事。いくら少数精鋭を誇るSeeDでも、少々分の悪い状況だった。さっきまで味方だった者が突然敵側に回ってしまった。しかも、依頼主に理由をつけて現地に着くまで別途保管させてくれと言われ、武器は所持していない。無論、G.F.もジャンクションしていない。そしてこの場所。水はけが悪いのか、昨夜の雨でぬかるんでいて、足場が悪い。この場所で待ち伏せをしていたように、廃墟となった建物から現れ出た多数の男達。もう依頼主自体が敵だとしか思えない状況だった。SeeDを欺くとは、実に用意周到に計画していたと見える。
救いは相手がプロではないという事位か。それでも、襲いかかって来る者達の目付きは、どれもみな狂気を孕んでいるように見えた。感情を失くしたような、もしくは、ただ一点だけに捕らわれているような眼。死にもの狂いで挑んで来る。相手が素人とは言え、この数ではいずれ自分達は……、そうアーヴァインが思った時、横の低い塀の陰から声が聞こえた。
「魔女をかくまうSeeD! 死ね!」
声の方を反射的に向くと、こちらに狙いを定めた銃口が見えた。
「ゼル、ふせろ!」
ゼルが、身体を低くしたと同時に、アーヴァインはナイフを投げた。が、ナイフが手を離れる瞬間、銃口の向こうの顔が見えた。
「こども?」
僅かな躊躇いが、手を離れかけたナイフに伝わったが、ナイフは軌道を変えることなく、真っ直ぐに狙われた場所に飛んだ。銃口が上に向かって行くのを見ながら、アーヴァインの視界もぐるりと廻った。空を仰いだ青紫の瞳には、真紅の機体が映っていた。
「アーヴァイン!」
ゼルの横で、肩口から血を流し、ゆっくりとアーヴァインが倒れていった。
※-※-※
「見えたよ、スコール!」
その声に、コクピットから下を見ると、壊れかけた家々の間で、戦いをしている多数の人の姿が見えた。
「サイファー、威嚇射撃を、味方に当てるな」
「と言われても、入り乱れてっぞ!」
「脅すだけでいい、セルフィそこの開けた場所へ降りてくれ」
その命令に今度は反論する事なく、サイファーは人間スレスレの場所を狙って数回、威嚇射撃を行った。
「うわ、ちっさ! むちゃ言うね、はんちょ。周辺の木をなぎ倒すけどいい?」
「人間倒すなよ」
「了解、ちょ〜っと衝撃があるで〜、みんな掴まっててや〜」
セルフィは操縦桿をぐっと握り直した。直ぐ下の地上では、仲間達が戦闘をしている。彼らを巻き込まないよう、細心の注意を払い操作をする。丁度良い位置を確かめる為に、一度ぐるりと旋回した。さっきの威嚇射撃で、散り散りに逃げていく人々の姿が見える。
スコールに指定された場所は小さい、慎重に微調整を行いつつ、セルフィはゆっくりとラグナロクを降下させて行った。ふと近くなった地面で、戦っている者の姿がより大きくなって、再び視界に入ってきた。その中に誰よりも良く知っている顔を目が捉えた。
その姿に一瞬息が止まった。
まるで動揺が伝わったかのように、ラグナロクがガクンと揺れる。
『アカン、しっかりせな』
地上を見るのを止め、セルフィは必死にラグナロクの操縦に集中した。
木々をなぎ倒した衝撃と共に、ラグナロクが着陸する。
「行くぞ、キスティス」
「セルフィ、サイファー、ここをお願いね」
「うん、気をつけて」
武器を携えコクピットを飛び出していくスコールとキスティスを、立ち上がりセルフィは笑顔で見送った。
二人の姿が見えなくなった途端、身体が小刻みに震えだした。本当は、今すぐスコールの後を追って、自分もあそこへ行きたい。アーヴァインの姿を見て安心したい。まさか、そんな事ないと。さっき、血みどろの姿で倒れて行ったのは、彼じゃないと。でも――――。
身体が寒い。酷く寒い、震えが止まらない。ぎゅっと身体を小さくした時、ふっと肩に温かい何かが触れた。
「セルフィ、大丈夫だ」
「サイファー……」
顔を上げると、サイファーがいつの間にか傍に立っていた。視線はコクピットの外に見える戦場に向けられている。ここから見える場所には、アーヴァインの姿はなかった。代わりにスコールとキスティスが、流れるように得物を振るい、まだ残っていた敵を圧倒しているのが見えた。
「あの位じゃ、アイツは死なねぇ」
「……うん、分かってる」
その言葉で、壊れそうな程脈打っていた心臓の鼓動が、幾分治った気がした。
「ハンガーへ行って来いよ。ラグナロク内ならスコールも文句はないと思うぜ?」
「…………」
セルフィは動かなかった。
仮にもこれは任務、持ち場を離れてはいけない。SeeDとして、自分はここに来た。だから、私情で動く訳にはいかない。
「行けよ、行って安心してこい。ここには俺がいる」
「でも……」
「一目見たら、帰って来い」
サイファーはセルフィの両肩を掴み、強引にエレベーターのある方へ身体を反転させた。
セルフィは、医療チームが待機しているハンガーへ向かった。エレベーターを降りて、ほんの僅かな距離も走る。大きなドアが開くと、いつもはガランとしているハンガーが一変していた。医療スタッフが、忙しなく動き回っている。床には、担架のような簡単なベッドが並べて置かれていた。
「セルフィ!」
聞き覚えのある声に、セルフィは顔をそちらに向けた。
「リノア! どうして?」
「医療チームにねじ込んで貰ったの。技術は無くても手伝える事はあるから」
医療チームと同じ白のユニフォームを身に付けたリノアが走って来た。
「そっか、リノアが居てくれると心強いね」
「セルフィは? 行かないの?」
「あ、うん。今回あたしは、ラグナロクの操縦者だから」
「そうなんだ…」
そんな会話をしているうちに、負傷したSeeDが運び込まれて来始めた。一人、二人、三人と次々に運び込まれて来る。その殆どが、傷を負い他者の手を借りてやっと歩いている。そして、直ぐさま医療スタッフが、負傷の度合いを確認し次々と手当をしていく。リノアもいつの間にか持ち場に戻り、てきぱきと動いていた。自分も何か手伝おうと、セルフィが足を踏み出した時、ゼルが誰かを支えるようにして入って来た。初め俯いていて良く分からなかったが、直ぐにアーヴァインだと分かってセルフィは駆け寄った。
「セルフィ! あ、大丈夫だ、ケガはしてっけど」
ゼルは、セルフィを見つけると、血に汚れた顔でニッと笑った。セルフィもゼルの反対側から、アーヴァインを支えて、床に設えられたベッドの上に寝かす。肩にはべっとりと血糊がが付き、バトル用のユニフォームは大きく引き裂かれていた。そこから見える腹部の切り傷は大きかったが、さほど深くは無さそうなのが幸いか。肩に銃弾を受けたが、掠った程度だとゼルが教えてくれた。ここに来てセルフィは漸く息をした。目を開けてはくれないが、ちゃんと呼吸しているのが判るし、見たところ小さな傷以外他に負傷した所もないようだ、それが分かっただけでも十分だ。
アーヴァインの顔にこびりついた泥と血を手で拭ってから、こちらへ来たリノアと、隣のゼルに「アービンをお願いね」と告げて、セルフィはコクピットへ戻った。
「ただいま」
「大丈夫か?」
「うん、大した事なかった」
柄にも無く心配そうな顔をしているサイファーに、セルフィは笑顔を作って答えた。
「そうか良かったな」
うん、と答えてから、操縦席に座ると、それを待っていたかのように、スコールとキスティスが帰って来た。
「ガーデンへ帰還する」
「了解」
バラムガーデンへ帰還して負傷者を降ろすと、スコールは再び現場へと向かう、とまだコクピットに待機している者に告げた。キスティスは危険ではないかと、彼を止めようとしたが、返って今が一番安全だろうと、彼女以外の全員がスコールに賛同したので、キスティスもそれに納得し、軽傷のゼルを案内係として、再び現場へと向かった。
小さな山間の廃村。
現場に着き、全員で襲って来た相手の手掛かりになりそうな物を探した。確かにスコールの言う通り、人の気配は無かった、死んでいる者を除いては。
手掛かりは殆ど無かった。SeeDを狙う相手だけの事はある。
「ここ、焼き払うつもりだったのね。自分達の仲間もろとも」
近くの崩れかけた小屋の脇に、真新しい容器に入った液体燃料があった。その幾つかは蓋が開けられ、また幾つかは近くに撒かれていたのを見て、キスティスは顔をしかめていた。
「むちゃくちゃだな、そこが素人か」
カッと目を見開き、自分を見上げている死体を一瞥して、サイファーは呟いた。
「あいつら、ここの住人か!?」
残された血の付いた武器の中には、農具も幾つか見てとれた。ゼルは落ちていたナタを拾い上げると、ぐるりと見てからまた捨てた。
「何にせよ、今回の標的は俺たちSeeDだったって事だな、ゼル」
死体の身体を調べながら、スコールはチラッとゼルを見た。
「ああ 多分間違いないぜ」
「SeeDに新たな敵が出てきたって事ね。しかも魔女の事も漏れていると……」
「人の口に戸は立てられねえって事か」
「そうだ」
スコールの低く噛み締めるような声。
四人の間を、湿気を含んだ生暖かい風が吹き抜けていった。
「これ何かな〜」
一人村の横の森の入り口に居たセルフィが、何かを持って手を振っていた。
「バッジみたいね、何かのマークかしら」
小指の先程のバッジらしき金属片、廃村には似つかわしくない真新しいそれには、何かのマークらしきものが描かれていた。
「すぐにガーデンへ画像を送って調べて貰ってくれ、他には何かないか?」
携帯端末を操作しているキスティスに金属片を渡し、スコールは今一度辺りを見回した。
「何もねーぜ」
「ゼルは?」
「あ? あ、いやこっちもないぜ〜」
「何か捜しものか?」
さっきまで直ぐ近くにいたのに、今は離れた所で死体を見て回っているゼルを、スコールは訝かしげに見た。
「いや〜 子供がいたんだ十二、三くらいの、でも死体はないな〜と思って」
「子供!?」
キスティスが驚いたように声を荒げた。
「殺したのか!?」
サイファーも珍しく眉をひそめていた。
「いや、アーヴァインが投げたナイフが命中したのは分かったが、それが致命傷だったかどうかまでは、分かんね。けど、死体がないって事は、生きてんだと思う」
「アービンが…!?」
セルフィは、嫌な胸騒ぎがした。
再びガーデンに帰還した時には、すっかり夜になっていた。
負傷したSeeD達は、重傷の者はバラムの街の病院へ、軽傷の者はカドワキ先生が治療を行う事になっていた。死んだ者がいなかったのが幸いだった。
アーヴァインは、重傷者だと思っていたので、てっきり街の病院へ搬送されたんだろうとセルフィは思ったが、医務室で治療を受けていると連絡を受けた。思ったより軽傷で良かったと、セルフィは医務室へと向かっていた。ただ、身体の傷は軽傷でも、心はまた大きな傷を受けたんじゃないかと心配だった。ゼルの言った事が本当だとすれば、おそらく――――。
「リノア…」
医務室に入ったら、まだ医療チームの服を着たリノアがいた。
「手伝い?」
「うん、じっとしてられなくて。あ、アーヴァインこっちだよ」
リノアは、セルフィの手を引っ張って、アーヴァインのベッドまで連れて行った。そっとカーテンを開けると、静かに横たわり眠っているようだった。近づいて顔を覗き込んでみると、穏やかに胸が上下しているのが判った。
「良かった、大した事なくて」
セルフィは漸く、少しホッとする事が出来た。
「ん〜 そうでもなかったんだけどね」
「え!?」
リノアの言葉に、セルフィは振り返った。
「本当はね、街の病院へ行くグループだったんだ。でもね……」
リノアはじっとアーヴァインを見ていた。
「使ったの? 力……」
「うん、みんな酷いケガしてて、どうにかしてあげたくて、スコールに頼んだんだ、そしたら……」
「そしたら?」
「みんな自分の事で手一杯だ。自分の担当は自分で判断しろ、って」
「使ったんだね」
「うん、怪我した人全員に、ちょっとずつね。だから、アーヴァインのケガは、直ぐ治ると思うよ」
リノアは優しく微笑んでいた。
「ありがとうリノア。身体大丈夫? しんどくない? 力使いすぎてない?」
「こんな時に力使えないなんて、魔女の意味ないもん、気にしないで。あ、ちょっと苦しそうだったから、さっき“睡眠”をサービスしちゃったんだ。セルフィが来るなら掛けなかったんだけど……ごめんね」
「ううん、ありがとうリノア」
リノアは照れくさそうに笑った後、用事があるから、とカーテンを閉めて出て行った。
セルフィはベッド脇の椅子に座り、改めてアーヴァインの顔を眺めた。顔にあった傷も綺麗に無くなっている。多分リノアが、治癒してくれたんだ。傷自体の治癒はその人自身の力によるものだけれど、リノアの力はそれを手助けしてくれる。
類い希なる力。
本当に得難いものなのに、その力を使う事は殆ど許されない。唯人にとっては余りにも驚異的な力……。
使い方によっては世界の脅威とも成りうるのだから、やむを得ないのかも知れないけれど。力を得てしまったリノア自身は、得る前と何ら変わりない心優しい人。彼女が悪意を以て、力を使う事はないだろう、今までもこれから先も。その事を確信するだけに、今のリノアに課せられた処遇が、少しやるせない。出会った頃と少しも変わらないリノアの笑顔が、セルフィにはどこか哀しく見える事があった。
それでも、スコールが彼女の傍には居る。彼は、自ら彼女の傍に居たいと願った。辛いことばかりが増えてしまったリノアの人生に、それを払拭して余りある存在がある事を、セルフィは心から嬉しく思っていた。
目の前に居る人はどうなんだろう……。
自分にとっては、そこに居てくれるだけで、安心する、安らげる、大好きなかけがえのない人。でも、この人にとっては、どうなんだろう。
自分は、安らぎを与える事の出来る存在なのだろうか。ただ、傍にいて欲しいと思って貰えるような存在なのだろうか。少しでも拠り所になれる存在なのだろうか。
「起きて笑ってくれないかな」
アーヴァインの温かい手を握って、セルフィは小さく呟いた。
けれど、セルフィの願いとは反対に、力強いラインの眉が苦しそうにひそめられた。以前にも、エスタの医療施設でこんな風に、苦しげなアーヴァインを見守った事がある。あの時は、原因が判っていた。
でも今は――――。
身体の傷が痛むのか、それとも心の……。
「アービンは弱くなんかないよ」
スリプルで眠っているアーヴァインには届かないだろうが、それでもセルフィは言わずにはいられなかった。
本当に弱い人は、人を思い遣るという事に思い至る事も出来ない。自分の事に精一杯で、他人の事まで考える余裕はない。自分が傷つく痛みを知っている、辛さを知っているからこそ、他人を思い遣る事が出来る、優しくする事が出来る。誰かの為に何かをしようと思う事が出来る。そういう人を強くないって、どうして言える? それは弱いって事じゃないよ。あたしの考え方はおかしい? 戦う時ですら、モンスター相手ですら、相手を苦しませないよう一撃に細心の注意を払う人なのに。
そんな貴方だから好きなのに……。
届かぬ言葉を胸の奥で叫びながら、セルフィはアーヴァインの手を強く握った。
「そろそろ、時間だよ」
カーテンの向こうから、カドワキ先生にしては、控えめな声が聞こえた。
「アービンまた明日ね」
セルフィは、名残を惜しむようにそっと唇を重ねて、医務室を後にした。